米大統領、戦前日本とアルカイダ同列視 歴史観に批判
2007年8月24日付 朝日新聞
ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策
を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の
日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブ
ッシュ氏の苦境を示すものでもある。冒頭は9・11テロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本
をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。
大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義では
なかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。
「親米保守」という思想的立場がありえない、ということがよくわかる。
米国に寄り添う安部晋三氏の言う「美しい国」などフカシ以外の何者でもない。
自民党の憲法改正案を見れば、戦後レジュームの解体とは、本来は米国の掲げる民主主義に対する反逆以外の何物でもないのは明らかなのだが、本人たちにどれだけその自覚があるのやら・・・・・。
9条を改正して日本を侵略戦争のできる国にするのは、米国に尻尾をより激しく振れるようにするだけで、戦後レジュームの強化に他ならないのだが・・・・。